在るの根っこ言葉の根っこ(改訂再録)/ひだかたけし
 
ナニカガ ウマレ ソウダ

言葉
宇を身籠もり
身籠もる言葉は
響く声また声の渦
何かが何かが ウマレテイル

夏の炎天下の縁側で
西瓜を食べている
兄と弟、汗流し
その頃青大将たちは
群れをなし
裏道横切る
平然と

)舞い舞い舞い
)渇き渇き渇き
)刻む刻む刻む
)記憶の砂漠を
)さらさらさら

蛇の道の向こうには
大きな森があり
兄は夏休みに入ると
弟をそこへ連れていった
未だ薄暗い朝方から
蛇が石垣の隙間の穴で
眠っているその間に

)舞う舞う舞う
)飢え飢え飢え
)刻め刻め刻め
)記憶の砂漠を
)じゃあららら

六歳
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