当たりと外れが有るから籤なのさ/こたきひろし
外れ籤は千切って千切って
冬の寒空に紙吹雪にして
飛ばしてやった
俺の側ですやすや寝息をたてている
一人の女とは腐れ縁だよ
赤い糸なんかじゃ繋がってないさ
どう転がったとしても
さんざんと言うほど痛い目に逢わされてきたし
逢わせてもきた
だけどさ
お互い根底では必要としてきたんだよ
心底癒される事あるんだよ
だからさ
切るに切れない男と女の関係なんだって
それが
夫婦なんだって
たとえ
愛情と憎しみが渾然一体になっても
俺の子ども産んで育ててくれたんだぜ
俺みたいな駄目な男の
今はお袋以上の存在なんだ
家族なんだって
どうせ
赤い糸なんて儚く綺麗に切れて
しまうものなんだろ
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