星空への螺旋階段/塔野夏子
 
頭上にはきらめく星に満ちた夜空があり
その夜空へと向かう銀の螺旋階段があった

その螺旋階段を
のぼってゆく二人がいた
それもワルツを踊りながら
くるり くるりと
軽やかに優雅にのぼってゆくのだ

息を切らすこともなく
ただ軽やかに優雅に
夢のようにのぼってゆくのだ

くるり くるりと……

うっとりと見とれているうちに
いつしか二人の姿は星空へと消え
銀の螺旋階段も消え失せていた

あの二人はもしかして
かつての純粋だった自分と
その自分が恋したひとではなかったか

などと
思ってはみない方が
銀の螺旋階段と
ワルツを踊りながら軽やかに優雅にのぼってゆく二人の
イマージュは美しいのに違いなかった



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