201912第五週詩編/ただのみきや
 
隣家の屋根から翼のような雲が見える
朝の微睡みから覚め
膝に居座る悪夢が霧散するまで
蛹の時間
軒の氷柱の光の粒は 
瞼につめたいやわらかな真珠
木々の梢を半ば強引に愛撫する風
その風に乗って鴉が額縁の中
しばし曲芸を見せてくれる
一枚二枚と続け様に
音楽アルバムを聞き流し
窓を眺めてキーを打つ
古くから言われる通り
現は夢で夢も現と
雲間の日差しに目を細めながら
飽きもせず
煩いもせず
コーヒーの匂いが嗅ぎたくなる
年末年始の曜日の巡りと有給消化で
十日以上休暇が続く
苦手な訳ではないが
一人でいる方が好ましい
家族といるのも楽ではない
風が暴れ出す
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