雪と子供/金槌海豚
一番目の子は 僕に口を付けてくれました
二番目の子は 僕に低い声をくれました
三番目の子は 僕に語る言葉をくれました
ですから僕はあなたたちに こう語ります
三人の幼子が並んで くうくう寝静まる夜
雪がしんしんと うずたかく積もっていくように
幼子達のまだ細く短い骨は 太く長く伸びてゆく
降り積もる雪の懐に 隠されて眠りにつく
今は小さく紅い 頬っぺに鼻頭におでこに
口の中でもぐもぐ唱えながら 口づけをしよう
一番目の子は 僕に耳を付けてくれました
二番目の子は 僕に音を聞かせてくれました
三番目の子は 僕に言葉を話してくれました
ですからあなたたちは僕に こうお話してくれます
僕たちは代わる代わる橇に乗って
何べんも何べんも 登っては滑る 滑っては登る
あたりが真っ暗に暮れて 雪が仄暗く光って
橇が滑っていくその先だけが青く照らされ
ママのおっぱいが懐かしくなるまで
パパが僕らを担いで家へ連れて帰るまで
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