春患い/トビラ
 
かちあい
空いた席、君に座ってもらい

雨の日、地下鉄
帰り道、傘ふたつ
あてもなく、迷いもなく
頭も悪くなりそうなほど甘い、
チョコレート、ふたり頬張り

目の前の進路、君も僕も、
もてあまし、それでも
君は階段を駆け上がっていく

いつかまた逢おうね
一方通行に願いかけて
一月の夜空、澄んだまま
遠くはなれた君想う
白い息、星雲にとどくように

叶うなら
僕の人生をくべて
君の幸せにしたかった
愛の色を教えてくれた人
大きな運命を演奏してくれた人

置き去りにされても、なお、
花の香る季節にもどり

すうっと、あの空に線を引く
虹色になりきれない慕情にじませ
今もまだ、春患い

厭(あ)きない、明るい陽だまりのなか、
君の顔がぼやけていく
君がそれを望むように
晴れやかな春を、迎えたいように

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