無敵の人(初稿)/れつら
焼け焦げた影がひとかたまりついてくる
無敵の人
いきがかりの道なりは非論理が連なり
明日まで継がれた暗がりは八方塞がらず
もう疲れた帰ろうかと思いこもうとする
体力をゲーム状にタンクに見立てると
八割から減らない 減ることを知らないほど最初から僅か
その虹色にきらめく弱粘性のオイルを抱えて
美も醜も、死臭も
波打つ体内で揺らして
頭の中で電子的な戦争を繰り広げながら
半透明の通路を行き交う
毛並みの悪い無色の動物
すれ違いに吠え立てることを挨拶代わりにする
筋肉がよわり小太りになった狼
天然のゆるいパーマが伸び切って顔を半分覆い
外光に晒されると
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