無題/朧月夜
空疎な空をかかえながら、
掌のなかに空色を握っている。
機械仕掛けの古城に、
冬の点し灯が灯るのはいつのこと?
荒野に風は吹き曝しになって、
人々にマントを被らせる。
皆希望や欲望でその顔を彩らせて、
わたしは呆けた顔を一つ首の上に乗せている。
誰もどこかへ行くことはせず、
わたしも行くあてのなさを一人抱いている。
あの、冬の点し灯が灯れば、
この哀惜を吹き飛ばしてくれるのだろうか……
君と一緒に歩んでいた時に、
その道が二人別々であったことをわたしは知っていた。
だから、いつか冬の点し灯が灯れば、
わたしは雪の中に隠されることを知っている
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