電飾華やかな街では/こたきひろし
十代の終わりか二十代の始め頃
彼はその心の中にダイナマイトの束を隠し持っていたんだ
導火線が短くてさ
直ぐに爆発させてしまうのさ
そのせいか目付きが鋭くてさ
夜の繁華街を一人でぶらついてたりすると
ワルな連中に絡まれたりするのさ
暗いところに連れ込まれて殴られ放題さ
からきし強い奴には弱いって訳さ
彼がもっぱら相手にしてたのは
自分より弱いやつさ
自分よりガタイがなくて
自分より気弱そうで
土下座でもなんでもしてくれそうな相手さ
彼はその見極めがうまいんだよ
獲物を見つけると
不条理な因縁つけて脅すのさ
「金を貸してくれって」
ああ
でもこれってさ
国と国の力関係を思い出させるな
武力と経済の力学
力有るものとお金持ちとの蜜月
戦争がないと武器が売れないから
戦争がなければないで
少なくともキナ臭い匂いはさせとけ
みたいな
繁華街の電飾が眩しくて
光も闇も見失いそうだよ
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