柿/mmnkt
柿が自らの重みに耐えかねて
落下するのはいつだろう
近くで見れば黒ずんできているが
遠くからなら変わりなく
まるく楽しい色を放っている
俺は葉の落ちて実だけになった
この柿の木を美しく思う
実がなければ銀閣寺の植木のようで
わびさびを感じるが
対話を越えることはできない
葉があればどこか大衆的で
俺はいいやとなってしまう
わびさびと楽しさを
一つの中にあるのでなく
個々のものとして
奥でも手前でも同時に味わえる
細い幹や枝と
鮮やかに浮かぶ実の組み合わせが
俺の目と心を喜ばせる
落下するのはいつだろう
AIが話し相手になる時代に
クリスマスよりも
この素朴なイベントを待っている
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