無題/朧月夜
中にある間は、
わたしたちはレボリューションを目指さない。
ああ、
「世界を進歩させよ」と、詩人は言う。
「世界を発明せよ」と、政治家は言う。
でも、そんな魔法がわたしたちの手にはあったのだろうか。
わたしたちがただ沈黙の中で見る夢が……
……誰も見ないだろう、その夢を。
誰も夢見ることの出来ない、その夢を。
ああ、
わたしたちに多くを与えるな、
それはわたしたちの手には余るのだから。
わたしたちから多くを奪うな。
わたしたちには片輪なこの一本の腕しかないのだから。
わたしたちに多く歌いかけるな。
真昼の星空を見ることがなかった詩人
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