201912第二週詩編/ただのみきや
 
ぎ回って軽やかに
まだ浅い雪を蹴って往き巡る

この時間帯公園は狐の縄張りになる
鼠を捉えたりゴミを漁ったりして暮らしているが
住宅地をうろつく連中の中では
毛並みもいいし尻尾もしっかりしている

首輪は知らない
自由も知らない
すべてはただ生きること
理想や娯楽が一人歩きすることはない
ただ本当に飢えるとはどんなものか
満ち足りることはどんなことか
たぶん人より良く知っている

満ちて往く月の下に狐はいる
山も街も違いはない
己がいるところ
月が見えるところを縄張りとする



 ***

やわらかな雨をくぐり
航跡を引くように香水を匂わせる獣
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