雪の降らない街に大雪が降った/こたきひろし
 
がない

一度くらいは会っていたのかもしれない
記憶がないのでそれは無いに等しい

なのに葬儀に参列しなければならないのは
単純に妻の従兄弟であったからに他ならない

そう言えば
妻の親類には不可解な死者が他にもいた
妻の叔母さんはローカル線の電車で轢死していた
その御主人は自宅の庭の木に首を吊ってぶら下がったと妻から聞いている

よくもまあ
そんな女を私は妻に選んだものだ

よくもまあ
よくもまあ
よくもまあ

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