無題/
大町綾音
たものだと、
僕はいま、その酷薄さに、
ようやく、
気づく。
誰も。 失われた者など
なかったと、
そんな風に
言いたげに。
ああ、
それは崩れた空の、
わたしたち
への、
精一杯の言い訳だ。
戯言を 言う暇にも、
聞く合間にも、
僕たちは、ただ、
崩れていく。
ああ、それは、崩れた空の。
誰にも聞こえない、 響き。
どこにも届かない、 谺。
無音の旋律で、
ただ、
慰めを求めてい る。
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