光を嗅ぐ/たま
 
冬の入口で
RENの骨を拾った
十六年のいのちだった
夏毛のまま
逝ってしまったRENの
体温が残るこの手が淋しくて
白い子犬を抱いた

DANSKE、と名付けた

も吉と歩いたあの道を
RENと歩いたあの道を
もういちど
DANSKEと歩くつもりだ
でも、これが最後の道だよ――。
そう言って
北の亡者は笑うだろうか
まったく、懲りない男だ

いつもの公園の
朱色した桜葉の
幾重にも塗りつぶされた歓びと悲しみを
白い子犬は踏みしめて
芯まで冷えた
光を嗅ぐ

DANSKE、これが冬なんだよ――。
北の亡者の声を真似て
懲りない男はそう言うのだ
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