思椎の森で化石になってしまった 散文編/こたきひろし
市営公園の駐車場に停めた車の中、運転席で仮眠までにも至ってもいなかった。意識が散らかってまとまりがついていない。が、疲労感は限界に近づいていて体は熟睡を求めているに違いなかったが、さすがに車の中では眠れなかったのだ。
妻の妊娠は非常に喜ばしい事だが、何だかピンとくるものがずっとなかったのは正直なところだった。
妊娠を告げられた日にも、そうなんだと、まるで他人事のようにに聞こえたのだ。
たしかに妊娠は女にとっても男にとっても一生を揺るがす一大事だとは認識はしていたけれど。
現実に妻のお腹が膨らみ出していく過程のなかで男は少しずつ認識を深めていくに違いない。
パトロールカーから降りた
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