思椎の森で化石になってしまった 散文編/こたきひろし
 
りたってきた警官がなぜ俺にだけ職務質問してきたのかは最初疑問だった。
駐車場には他にも数台停まっていたし、パトロールカーの登場に一斉にエンジンをかけたかと思うや、まるで蜘蛛の子どもが散らされるように逃げ出していったのだから、そちらの方が多いに問題じゃないかと思ったのだ。

しかしその疑問は間もなく解けた。
運転席側の車の窓を警官がノックしてきて、俺が開けたら警官がいちばんに言った言葉で察したのだ。
「何でこんな時間こんな場所に停車して一人でいるの?」と訊いてきたからだ。
それで他の車の中には複数の人間が乗っていたのかと。
そしてそれはきっと男女のカップルでいちゃついていたか、それ以上
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