空へ/
立見春香
いつか空に触りたい
人の世のやるせなさを掌に乗せて
暮らしに降りつもるかなしい怒りを
爪先には残しながら
触れれば凍てつく凶器の風
くぐり抜けてありのままの
悩む私のままで不安な灰色の雲を抜け
いつか空に触りたい
そしてそのまま
空にいさせてほしい
それを死と呼ばれたとして悲しむものなど
だれもいない木枯らし吹く世界に生きている
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