昔怪人と呼ばれていた男は七面鳥に惚れる/アラガイs
 

釘は六寸に引っ掻いた胸の痕跡
左は股の付け根から膝がしらにかけて
合わせて一尺近い縫い込みの跡が盛る
想像するリアル怪人(例えばフランケンシュタインとかゾンビだとか)
切り裂き息を吹き返す
ラストナイト
/それはわたしの中にも

憧れのロックスターを夢見て
顔に数えきれない整形手術を繰り返したという
、その昔怪人と呼ばれた顔の男がいた。
男には自負もあったが、いくら手術でスターを真似ても似つきもしない
素地の違いは明白だった。
なにを捨てたのか、真実は遠い乳母車の軋みに
実は髪の毛が薄かったとか肺を患っていたとか
本当は去勢手術を受けていたのだ、とか
、周りの人
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