思椎の森で化石になってしまった/こたきひろし
死ぬくらい
体は酷く疲れていた
のに
神経はやたら昂っていた
午前二時を過ぎていた
市営公園の駐車場に停めた車の運転席で
うつらうつらしていた
明日も仕事だ
工場で働く
なのに
アパートに帰って眠る気にはなれない
アパートには
誰もいない
妻はいない
愛しい人は
お腹に宿した子供を
無事に出産してくれるだろうか
仕事中に産気づいて
必死に連絡してきた
俺は初めての経験に我を失いそうになりながら
職場に許可を貰い
自宅アパートに車を走らせた
妻を車に乗せて
近くの産院に連れていった
産院の廊下で午前0時近くまで
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