美しすぎる夕焼け/mmnkt
夕焼けを朝焼けと錯覚して
午後五時を午前五時と錯覚して
頭の中がぐるぐるになった
薄青い空の山あいはオレンジで
夜明けすぐに父と車で
温泉に行ったことを思い出す
あのまま騙されていたら
朝として受け入れていたらどうなった
世界があべこべになって
時計が逆回転を始め
過去が未来になったりして
されど社会は厳しくて
美しすぎる夕焼け
都市の洗練されたカクテルのような
日中に溜まっていき朝にはリセットされる
見えない不純物も見当たらずきれいで
私の気分を高揚させた
家に着く頃にはそんな
バッドのようなトゥーグッドのような
マジックショーも終わり
空には誰かが放り投げた爪が
一時停止の状態で
まるで三日月みたいに浮かんでいた
美とは狂気の入り口なのか
少なくとも凡骨が追うものではない
私のような者には
コンビニで買ったイカフライがちょうどいい
うまいし、安いし、
馬鹿のくせに抱きしめてくるし
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