戦略と戦術/幽霊
なぁ必要な死ってあるよなぁ…
鬱蒼とした言の葉ジャングル
ぬかるんだ足元で慎重に歩を進める
聞いたこともない鳥の鳴き声
苔を踏んでこけそうになる
緑に視界を潰され
いつ、どこから、どんな言葉が飛び出してくるか予測困難
お前はもう俺の詩の中
すべては俺の意のままだ
どうだ!?
突如!謎の痛みが襲う
お前は自分の身に何が起きたのか理解が追い付かない
価値観から血が滴る
言葉の跳弾がお前の価値観をかすめたんだ
遥か遠くの茂みから舌打ちが聞こえる
俺は呼吸を止め再度スコープを覗く
腰を低くして頭を抱えるお前を捉えている
揺れるターゲット、狙いが外れまた定める
お前は気づかない
引き金に指をかける
まだ気づかない
次の瞬間!銃口が比喩を叫ぶ
比喩は空間をねじりながらターゲットに一直線
肩に命中!価値観に着せた防弾チョッキを貫通
まるでフィギュアスケートみたいにスピンして吹っ飛ぶ!!
血は感嘆符として飛沫を上げて空中に赤いピリオドが散らばった。
なぁ必要な死ってあるよなぁ…
生まれ変わるには死が必要だからな。
戻る 編 削 Point(0)