こんなの詩じゃねぇよ/こたきひろし
ある朝
父親と母親にむかって
二十歳過ぎた上の娘が言ってきた
お父さんとお母さん
夜中にうるさいよ
うるさくて眠れないよ
気になって眠れないよ
年頃の娘がいるんだから
いい加減やめてよ
二人ともいい年なんだからさ
聞きたくないよ
キモいよ
それを言われて
俺の時間は一瞬止まった
嫁の時間も同じくだったに違いない
何を言っているのか
直ぐにピンときた
止まった時間が再び動きだしても
何も言い返せなかった
そして俺は思い出した
長女がまだよちよち歩きしてた頃
夜
すっかり眠ったと安心していたら
いつの間にか起き出していた
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