空洞の快楽/
ひだかたけし
千切れ雲広がる
夕空を
ベランダから眺めている、
私はすっかり空洞だ
目を閉じると
銀の粒子が飛び跳ねて
網膜に映る六角形
ゆらりゆらりと
眼窩を舞う
)壊れていく、壊れていく
)何かが無音のうち
)壊れていく
目を開けると
夕焼けには未だ遠く
千切れ雲だけ陰っていき
私は笑いを押し殺す
空洞の快楽、一瞬突き上げ
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