あり得ない妄想/こたきひろし
 
俺と同い年の奴等が
男女入り交じって
泳ぎながら遊んでいるだろう

大声をあげながら
もしかしたら
そのなかの一人くらい
溺れ死んでいるかもしれないな

深い水のなかは
魔界だからさ
足をひっばられて
引きずり込まれるのさ

仲間たちは
誰一人気づかなくて
水遊びに夢中になってる

俺は母親からきつく止められているんだ
川遊びは命を落とすから
するなって

事実
せっかくの命を川底に落として拾えなくなった
弔いが毎年出てるのさ

俺の父親は石に名前を彫るのが上手で
頼まれると墓石にも彫ってあげてた

部落には
桶を作る名人もいて
頼まれ
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