追いかけてきたと思ったらとんでもねー速度で遠ざかっていった過去の話。/雨の音
 
あなたのためになるのだろうか

喪った気分になってはいけない
とっくに失ってはいたのだから
そしてとっくに得ていたんだ
あなたのいないその先を

ああ 言葉にしたいのに
たったこれだけの事なのに言葉がない
散らかした小さな部屋を
ありがとうやさよならでは片付けられない

愛しく思っていた
あなたを消費する彼をとても憎んでいた
今となってはもう
ただただ過去という時間に隔てられた思い出でしかなくて

酒を飲もう
煙草を吸おう
緩慢な自殺と言われても
墓前には酒と煙が必要だから

忘れたくとも忘れられないあなたを過去形に貶めながら
そしてきっと来週誰かとSEXをしながら
とてもわたしは幸せだなんぞ思っているのだろう
それを残酷だと思うだろうか?

最後の顔も見れなかった
あなたの側を歩けなかったわたしだけれど
自分に関わるなと叫んで
あなたを外へ投げ出したわたしだけれど
涙をほんの一つだけ溢します
それだけは許してください

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