生まれた土地と育った歳月/こたきひろし
 
生まれた土地と育った歳月

人の命の岸辺に深く打ち込まれた杭
けして抜けない
もんだ

戸籍に記された
名前と生年月日

頭の中に印字されて
いつ聞かれても
書かされても
覚えて
いるさ

それを死ぬ瀬戸際まで
淀みなく
答えられたら
幸せかもな

運良く
女房子供持てたよ

だけど
その分は
多く泣いたよ
時には喚いたさ

振り返られば
それも幸せに幸せに思えるまでに
歳を重ねてしまった

女房子供持てたよ
すっかり歳を取ったよ

それでも
俺の娘くらいに
若くて健康な女のこに
ついつい目がいくのさ

お爺ちゃん
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