枯れ井戸/
ひだかたけし
からも
生まれては死に、死んでは生まれていくのだろう
内は外となり外は内となり
ますます透明になって澄み渡って
深まる青に銀の絹糸をぴんと張り
いつの日にか
記憶の奥の億を手繰り寄せるまで
遠去かる宇宙の声の木霊を
この現にハッキリと聴き取るまで
)確かな意識持ち
)広がり続ける意識持ち
この眼球の奥で踊る白銀
煌めく純粋な光の輝き
静かな静かな秋の夜に
金木犀の香に包まれ
私は静かに瞑目し
枯れた井戸を覗き込む
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