自分史(音楽事務所勤務時代12 ー 幸せなひととき)/日比津 開
 
 娘は通院、治療、入院、手術を繰り返して
いたが、だんだん通常に近い生活ができるよ
うになってきた。歩けるようになり、カタコ
トの言葉が話せるようになると、娘とよく遊
んだ。

 一番楽しみだったのは、近くの公園に手を
繋ぎながら行き、ブランコやすべり台で遊ん
だり、公園内を鬼ごっこして駆け回ったこと。
娘が『パパ、待って、待ってよ!』と言いな
がら、二人でぐるぐる回ったことを鮮明に覚
えている。

 公園のあとは、たいてい運河に行った。ユ
リカモメと遊ぶためである。パンを持ってい
くと、ユリカモメたちがたくさん集まり、中
には顔の近くまで寄ってくる鳥がいて、パン
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