仮定の連鎖/こたきひろし
 
もし
地球が半分腐っていたとしても
残り半分まともなら
それはそれなりに
バランスは保たれて
朝はやってくるし
日は暮れるだろう

何の根拠もなしに
そう思ってしまう私は
心が千切れてはいないかと
たえず不安になる

もし
この世界が半分腐った林檎になってしまっても
もう半分が腐っていかなければ
林檎に変わりはないだろう
とか

私はその時十七歳だった
ある日十個歳上の姉に言われた
「あんたは幾ら叩いても釘の刺さらない糠ね」
そして姉はこうも言った
「あんたはいったい何を考えているかさっぱり解らない。まるで宇宙人みたいだ」
言われて
私は何と返答
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