もう冬でいいでしょう 【都々逸】/ただのみきや
か袢纏(はんてん)はおり 酒を切らして急ぎ足
人のつぶやき上手に聞いて うつむくうなじ白匂う
木枯らし吹けば人肌恋し 湯たんぽ何処へ置いたやら
繁る言の葉すっかり散って 互いの窓が気にかかる
書きとる前に飛び去る歌は 誰の窓辺の鳥となる
翅も擦り切れ絃(いと)こと切れて 骸も空ろきりぎりす
死んでしまえと鏡に吐いた 昔の自分刺しに来る
地獄極楽温泉巡り ウィルギリウスとダンテ往く
《もう冬でいいでしょう:2019年11月9日》
戻る 編 削 Point(7)