記憶のぼろ切れ/こたきひろし
思いでの切れはし集めて並べたよ
ボロボロになった古い写真みたいに
今朝は青い空に白い雲が散らばっていて
実に清々しい気分なんだ
仕事中なんだけどさ
爽やかすぎて
仕事に身が入らないよ
爽やかすぎて
生きているのさえ
止めたくなるよ
物流センターの敷地内から
はるか遠くに筑波山が見えるのさ
気持ちいいな
屋外の一人作業だから
誰にも気兼ねなくてすむのさ
倉庫内はピッキングピッキングで
沢山のパートさんが黙々と働いているから
外で働いているお爺ちゃんになんて
興味も関心もありませんって
言う空気でいっぱいな訳
今
お爺ちゃんが心筋梗塞で倒れたとしても
誰も気づいてくれないけど
それも自由なんだって思ってるよ
思い出って言っても切れはしだから
ひとつに
繋ぎ合わないよ
今日は何だか金木犀の香りがしてくるな
隣の工場は相変わらずもくもと煙りがあがってるのにさ
金木犀の香りが負けず劣らず
してくるのさ
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