無価値/都築あかり
 
大切にしていた、
とてもお気に入りだった、
食器が割れました

パリンと音を立てて
それっきり何の役にも
立たなくなりました

そればかりか
その破片たちは、
わたしの手に傷をつけました

何の思い入れもない食器たちは
残るどころか増えていって

何年も何十年も生きていたら、
そんなことの繰り返しで、
どうでもいいことばかり
自分の中に残っていきました

どうして大事にしているものばかり
一瞬にして、その瞬間から
わたしの中からなくなってしまって、
その度に心を痛めて、悲しんで

わたしが死ぬ頃
わたしの中身に
何が残っているのでしょう

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