限りなく光速に近い静止/紫音
真っ暗な閉め切った部屋の片隅で白と黒が無秩序に演出する光と闇のコントラストから流れ出す無機質なメロディーが思考を止めたボクの中のレプリカントを愛撫しながらこの狭い小宇宙に光速で進む世界を外から見つめるようにスローモーションなコマ送りの空気を生み出し続ける時にチクタクと規則正しい音を刻みながら誰も見ていない針を律儀に進める時計台のある駅のホームで誰を待つでもなく立ちつくすキミが着る真っ白なトレンチコートの裾からほつれた糸の先にヒラヒラと舞い踊る琥珀色の燐粉を纏った蝶が見る暗闇に消える線路の先にある谷間を見えないはずの幻を浮かびあがらせる月光の淡い乳白色のカーテンが夜明けを遮る景色を切り取った写真に写
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