径と銀河/木立 悟
夜 窓に至る暗がりに
幾つかの鉄柱が立っていて
ここからは月の檻です
と言う
長い長い髪の毛が四本
自分が髪の毛だと知らぬまま
夜に絡み
そよいでいた
排水口と空を昇り降りする星の子を
何も言わずに見つめる猫
濡れた枯れ葉に立つ柱
陶器の径を過ぎてゆく曇
身体の何処かに潜む龍が
ぐぐむぐぐむと姿を起こし
皮膚に骨の山脈を描き
ことごとく嵐を消し去ってゆく
陽は落ち 幾度も落ち
窓は幽かに明るい羽に覆われ
絵巻は燃され 燃されつづけ
なお描かれつづけ 夜を照らす
黒のなかに黒の樹が立ち
多くの弱きものた
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