碧い鴉の赤い十字架/アラガイs
取り出して少女の小さな手に握らせた。
三度拒んでやっと無理やり手の中に押し込めたのだ。「もちろん理由もないお金の授受を拒む人もいた。わたしは何人かは覚えているのだが、」
とうとう諦めて(ありがとう、ありがとうございます。)聴き取りにくい声で一気に顔を染めた。
すぐに恥ずかしそうに何度も会釈して立ち去って行った。
100メートルも過ぎた辺りだろうか、こちらをちらりと振り返ったのか、
その口元からこぼれる笑みが切れて歪んでみえた。
ひょっとして馬鹿にされたのか、
後ろ姿の弱々しさ
歩き去る勢いに、正面から見る姿が違ってみえたのだ。そんな風に。
11の月に11ー11と同じ数字が並ん
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