静止線/大町綾音
これがほんとうの左様ならなのか、いつもほんとうの左様ならなのか、それだけを尋ねている。左様ならのありかはどこ? いつかはほんとうの左様ならが訪れる。それはいつ? わたしを褒めてくれる人がわたしの周りにはいて、そのさらに周りにはわたしを嫌う人たちがいる。その外側には、わたしを好きだと言う人たちがいるのだろうか。何層にも重なり合った世界のなかで、境界をなくしたわたしに手を差し伸べる人がいる。すれ違うあなた、その心は今わたしに話しかけなかったろうか。否定のなかに肯定を読み解いて、人のこころがそんなに残酷ではないことを確かめる。息遣いはすべてを教える、挙措のひとつひとつまで。わたしという形が溶けて空に向
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