通り魔たち 4/春日線香
 






なんのつもりか
生の鶏の手羽元が
塀の上にずらりと並べられ
荒らされもせず
新鮮さを保っていた







陸橋の裏側には
熟れたりんごの実が沢山
時々滴るように落下して
人を殺す
大きな腫瘍にも似て







段ボールが舞い上がって
一瞬人間の形を作り
すぐに落ちて動かなくなった
車輌はその上を通る







世を深く恨む
遊歩道の車止めの群れ
己の存在に飽き飽きして
風が吹くたび
酷く軋んでみせる







一本足で
苔や新聞紙を食べる
死んでいるの
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