桜の木の下で/ベンジャミン
 
肩にまわした枝先から
次々に花が咲くように思えたのは
良く晴れた陽のまぶしさでなく
あれはそう
池のほとりから身を投げ出して
舞う花びらをつかまえようとした
少し危うげな
それでいて柔らかな一瞬のせいでした

渡り鳥の消えた穏やかな水面は
水底を隠して空を映し
垂れかかる桜の木の枝を浮かべては
花色を薄くひきのばしていました

四月は
そんな優しさをたなびかせて
風のぬくもりにも微笑んでしまいそうな桃色で
あなたは桜の木の下で
背丈と同じほどの花に手をのばし
恥ずかしそうな花弁を
くすぐるようにのぞいている

どれほどの時間が流れても
そこだけは許され
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