無題/朧月夜
 
知り合いが増えれば増えるほどに、
切なさも増していく
そう教えてくれたのは、誰だったろう。
今はもう遠い場所にいるのだろうか。

ふり返れば、あなたの言葉だけを覚えている。
わたしはあなたの名前を知らない。
わたしはあなたの身体を知らない。
わたしはあなたのすべてを知らない。

何もわからないよ、何もわからないよ、
気が遠くなりそうなほどに。
何もわからないの、何もわからないの。
神は分かっているのだろうか。

あのレンガの向こう、コンクリートの向こう、
ポプラ並木の向こう、銀杏並木の向こうに、
あなたはいるのだろうか、
それともどこにもいないのだろうか。

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