肥沃な土と渇いた荒れ地そして平凡な土壌には/こたきひろし
肥沃な土にまかれた種子
渇いた荒れ地に落ちた種子
そして平凡で普通な土壌で芽吹いた種子
その数の比率を数字にするまでもないだろう
平凡で普通が大半を占めている
それは
人間の社会の実態にも当てはまるだろう。
生まれた家
育った環境
人は誰もその出自を選択はできない
しかし
肥沃な土に豊かな実りを期待できても
それは約束には至らない
不毛な荒れ地は
不毛がゆえに無限の可能性を秘めているかもしれない
果たして私は
平凡と普通であったのか
わからない
不平と不満の種子は尽きない
それは肥沃な土に育まれても
不毛な荒れ地にしがみついて育ったとしても
基本的には何も変わらないだろう
それが人間で有ることの証明かも知れない
人は誰も一ヶ所では
とどまってはいられないから
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