口元の汚れた八方詩人のしわがれたバラッド/ホロウ・シカエルボク
 
以外にない、お前には俺の言葉の意味など理解出来ないよ、だってそれはお前の世界にあるものとはまるで違うもの、俺は八方詩人、どこに居ようと何をしようと、ポエジーを見つけ出して齧りつき、その血肉を貪るだけさ、その光景はあまり見栄えのいいものじゃないかもしれない、だけど真実ってすべてを掻っ捌いたあとにしか出てこないものかもしれないぜ、肉に食い込む牙の感触が、喉元を通過する粘っこい感覚が、その記憶が血液のリズムとなり、そのリズムが俺にこうして詩を書かせるんだ、俺は本能に突き動かされている、でも支配されてはいない…いつだってそれを正しく解き放つための手段を求めているんだ、世界でもっとも静かに打ち出される弾丸だ、それはとても理性的な武器だが、同時に野性を滴らせている、思考によって咆哮するんだ、この先も俺として生きていくために―それは俺の脳内で反響を繰り返す、それが識別出来ないほどのうねりになった時、また俺は指先の中で牙を剥くだろう。

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