真似事――空白に遠く鳴り/ただのみきや
朝酒の代わりにシャンソン秋に酔う
幸せは演じることがその秘訣
極端に厚着と薄着の大学生
影を踏む鬼と知られずする遊び
花供え帽子目深に被る人
暗渠へと涙を流し生きる人
生垣も並木も流行りの赤を着る
シマエナガ愛くるしさにぷっと吹き
陽だまりの蜜蜂追えば夏還る
故知らず月に引かれて鳴く真珠
記憶開(あ)き痛み奏でるオルゴール
問ひとつ答はいつも異なる詩
ペンを止め命の砂の音を聞く
今を乗せ小舟は下る時の河
いつまでも若さ愚かさ引きずって
幼さの鞘
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