夜明け前の雨/山人
昨日も妻と出かけた。
山仕事を予定していたが、連日の激務で疲労がとれず、雨でもあり、出たくなかった。
相変わらず、近くの無人駅の二階の蕎麦店は繁盛し、市境峠の手書きの看板で客を待つ蕎麦店には客の気配はなかった。
繁盛蕎麦店は流行るだろうと客を待ち、客の来ない蕎麦店は今日も来ないだろうと思いながら店を構えているのだ。どちらも経験したことがあったからわかる気がした。
一時間かけて用を足し、近くのラーメン店で昼食とした。昼時で順番待ちとなるが、さして待つことは無かった。
威勢のいい大将は若いがまだ三十くらいだろうか。あとはさらに若いスタッフで持ち回りの仕事をこなしていた。
食欲は特になか
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