予感 その2/たちばなまこと
ぐに はらはらと
小さなかけらになって 根元へと
おちてゆく
薄桃色の部屋に 咲いて 埋め尽くして
やがて呼吸となり 肺につもる
女を抱いて 抱きしめて しめつければ
乳房の肌理の油断から
鋭くて 痛いくせに 甘い
かけらが 砕けた形をして 溢れて
抱いた人の胸元に溢れる汗に 溶けて
抱かれた人の脇腹を 伝い
花たちの根という根に 手を伸ばして
なじんでゆく
彼女らは輪廻しながら
甘くて痛い遺伝子を 守り続けている
根を持つものはみんな女で
この部屋で女を抱きしめる
その人だけが唯一 ひとときの
男なんだ
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