すいせい/すいせい
 
狂い咲く雨は箱庭を濡らし沈める
くちづけの後の小さな虹が
知らない町を燻らせて
しらずに踏み潰した蟻が
わずかに軋んでいる
体温でむすんだ小さな手が
知らない誰かと角を曲がる
箱庭をおろし立ての白い靴でこえて
嬉しそうな声が雨に消え
一輪ちぎり ちぎっては
咲く痛みにふわりと会釈した


吹くほどに生きていく
さらば去れと
息をいろづける
冬という擬人に凝る夜の名前が
抉った爪の中にのこり
水である事を
これほど呪ったことはなかった
辿り着けない
消せない手紙は
ただ虫の翅の軽さで足元につもり
やがて雪の比喩へと昇華される
そんな甘やぎと
切り裂いたくちぶえ
指を焦がして
みえない


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