源氏と平氏/日比津 開
 
』第一巻「祇園精舎」より

滅びの美学がそこには感じられる

源氏には文学的な美意識は
あまり感じられない
武士として一所懸命に生き
武家の頭領として親、兄弟の屍を
乗り越えても敵を倒す
執念のごときものが感じられる

ただ頼朝の前半生は、文学の題材となり得る
平治の乱の際、首切られるところを
清盛の義母、池の禅尼の命乞いにより
伊豆蛭ヶ小島に流され、流人として
生涯を終えるところだった

そこで北条政子と出会い結婚
長い流人生活からようやく脱し
石橋山の戦いに敗れたものの
板東(関東)の武士団をまとめ
遂には平氏を破り
鎌倉に武家政権を建てる


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