通り魔たち 2/春日線香
 

人間だったが
もう人間ではなくなった
鳥に近いようである
喉の奥から
波音に似た呻きを漏らす







新聞紙で汚物を拭いた跡があり
廊下の隅に寄せられていた
窓の向こうで
向日葵の死骸が列をなす
海のほうまで







自分の首を手に下げて
歩いてくる人もいた
橋の上を吹く風は強い
鳥は羽をたたんで
光る川面を見極めていた










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