無題/朧月夜
また、一つのことが終わり
また、一つのことが始まる
終わらない人生のように、それは終わらない
また、くりかえす……
命をつなぐ糸のように
私のつかんでいる一本の想い。
そこから、そこへと、
転がってゆく運なんて!
私をとらえて離さない
私を殺して止まない!
忘れたい夢のように、いつか
忘れない想いのように、いつも
私は怖くて踏み出せない
私を恐れて近よらない……
そこにもあって
ここにだってある、
また、いくつかの形をとり
また、どこかの岸辺を廻り
うちよせられている、貝がら一つ
私のまわりでは花咲いている、世界の欠けら。
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