sonnet(雨の日)/朧月夜
 
花園は雨に憂えている。その間(なか)を、
 ミツバチが叫びつつ、跳ねめぐっている。
幾百もの花が、その実をちらしている。
 地は、しゃがれ声とともに水をながす。

湖は水煙(けむり)をただよわせたまま、山に隠さり、
 白睡蓮の群生が鳥たちを招き、また、
それ自らは言葉もなく、頭(かしら)を垂れる。おぼろで、
 ほのめいた悲鳴にその身をゆだねながら。

 ((雨だれが、街にピアノを打つ音(ね)と、
枯れた小枝のように、とおくで、車輪の軋る声(おと)。
 子供らは、思い付きの節を歌う))

 まぼろしの婦人の足音が、歩んでゆき、
わけもない哀訴や、物語のうちの人の苦悶は、
 こんな日の空に現れる。
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